ウグイは、釣りにおける「外道」と呼ばれたり、食べても「まずい」との声をよく聞く魚ですが、昔は貴重なタンパク源として食べられていたのです!

中でも長野県上田市の千曲川では、「つけば漁」と呼ばれるウグイを獲るための漁法が行われており、郷土料理としてウグイを食べる文化が今も残っているのです!

今回はそんな「つけば料理」を提供する、「鯉西」さんへ突撃!
伝統のウグイ料理の食レポを行います!

千曲川伝統の「つけば漁」と「つけば小屋」

つけば漁の人口産卵床

ウグイの食文化を知る上で、避けては通れないほど関係が深いのが、長野県上田市の千曲川「つけば漁」「つけば小屋」です。

つけば漁とは、「種付け場」の略で、4月下旬〜6月の産卵期のウグイの習性を利用した、なんと江戸時代から続いている伝統的な漁法なのです!

ウグイの産卵床を人工的に作り、そこに産卵期特有の匂いを放つおとりのウグイを入れた種箱を沈めることで、匂いにつられたウグイをおびき寄せ捕獲するウグイ専用の漁法です。

漁が行われる時期には河川敷に「つけば小屋」が立ち、そこで獲れたてのウグイ料理を堪能することができます。

店内にはこのように記されていました。

つけば漁の由来
つけば漁は徳川時代から始められた長い伝統を有する漁法である。
つけ場とはハヤ(ウグイ)の産卵習慣を利用し天然の産卵床を似せてつくった人工のそれで 今日の形式が確立されたのは明治中期のことである。
その漁法は群馬県で一、二箇所 長野県下でも犀川・高瀬川などほんの数本の河川でしか行われていおない珍しいもので、最も盛んなのがこの千曲川水系の上小地区である。初夏の風物詩であるつけば料理をご堪能下さい。

歴史深い伝統の漁法ですが、高齢化や担い手不足により漁師もつけば小屋も減少傾向に。さらに2019年の台風19号による水害が原因で、いまでは数件しか残っていないそうです。

絶品のウグイ料理を求めて「鯉西」さんへ

今回お邪魔したのが、長野県上田町の「鯉西」さん。
僕にとっては聖地中の聖地!
千曲川沿いに建てられたつけば小屋にテンション爆上がりです!

入り口に入るか否や、ウグイがびっしりと入った生け簀がお出迎え。
炭火の香りと活気のある「いらっしゃいませ〜!」の声がとても心地がいい……。

畳が敷き詰められた座敷で涼を感じ、至る所にある「ウグイ関連」のグッズにもう泣きそうです(笑)。

席からはじっくりと炭火で焼かれているウグイの塩焼きが!
もう食べる前にお腹いっぱいになりそうです。
そろそろオーダーしないと(笑)。

お品書きにテンション爆上がり!

鯉西さんのお品書き(2022年5月現在)

メニューを見ると至る所に「はや料理(ウグイ)が!
ウグイの他にもカジカコイドジョウなど一般的なお店では見かけない珍しいメニューもあります。

正直全部食べたいですが、「ウグイ料理だけはコンプリートしたい!」という想いで「つけば料理 3,300円コース」「はや唐揚」をオーダーしました。

子持ち鮎の甘露煮

早速コース料理の1品目、「子持ちあゆの甘露煮」が到着。
ウグイではないが、言わずもがなの絶品。最初にあゆの味を再確認できたので、いい意味でこれから来るウグイ料理と比べられそうだ!

ウグイの塩焼き

ウグイの塩焼き

最初に来たウグイ料理は、川魚料理の定番「塩焼き」
ウグイの塩焼きは色々なシチュエーションで食べたことがあるので、
「なんとなく味の想像はつくよな…」なんて考えながらまずはひと口パクリ。

…今まで食べたウグイと全然違うんですけど!!

正直美味すぎて驚きました。川魚特有の臭みはゼロ、全然小骨も気にならないアユ以上の上品さを感じるほどの味でした!

子持ちのウグイは独特の食感がクセになる味わい!
料理の仕方次第で本当に化ける魚なんだなと実感……。

ウグイの田楽

ウグイの田楽(手前はアユの田楽)

続いては焼いたウグイに甘めの山椒味噌をかけた「田楽」がやってきました。
山椒と味噌のとても香ばしい香りが食欲をそそります。

淡白な白身は味噌との相性も抜群! これだけでご飯3杯はいけますね!
とても柔らかく頭もペロリと食べてしまいました。

ウグイの天ぷら

ウグイの天ぷら(稚鮎・山菜含む)

続いてやってきたのは「天ぷら」
稚鮎や山菜もてんこ盛りで超ボリューミーです!
これはビールが飲みたい!(笑)
小骨も気にならずサクサクと味わえました。

ウグイの唐揚げ

ウグイの唐揚げ

コースには含まれていなかったのですが、どうしても食べてみたくてオーダーした「 ウグイの唐揚げ」。

サクサクと頭まで食べられ、とってもジューシー!
そしてなんといっても唐揚げにかかっている甘だれが最高に相性抜群でした!

お持ち帰り用のウグイの唐揚げ

唐揚げはお持ち帰り用の惣菜もあったため、お土産用に購入。
こいつを肴におうちで一杯やりたいですね!

伝統文化を絶やさないために

必要以上に写真を撮っているもんだから、スタッフさんに「雑誌の取材の方?」と聞かれ、「日本ウグイ協会という協会を立ち上げたものです。」と素性を明かした。すると鯉西の西澤代表が「ウグイの研究をしてるの?」と声をかけてくださり、ご縁がつながりました。

西澤代表をはじめ、フタッフの方々も気さくな方ばかりで、色々なウグイトークに時間を忘れ、気づけば3時間ほどお邪魔していました。

いまでは数少ないウグイの食文化。担い手不足など様々な問題がありますが、当会も文化継承の一翼を担えればと強く感じました。

つけば小屋は4月〜10月頃まで営業。
ウグイ料理は6月頃までの提供で、以降はあゆ料理が振る舞われるそう。
ウグイの可能性を大いに感じた、刺激ある時間になりました!