全国各地幅広く生息しているウグイ。
世間では泥臭く小骨が多いため「まずい」と評価されている現状があります。
しかし、実際に自分で調理してみたら意外と美味しく食べることができました。

ただ、素人料理では「素材を活かす」といった課題を解消することができず苦悩していました。

そこで、「プロの料理人にお願いしたらもっと美味しく食べられるはず!」と思い立ち、行きつけの居酒屋に、ウグイの調理をお願いしてみました(笑)。

今回は「ウグイを料理プロが調理したらどうなるか!?」の検証レポート!

魚料理が評判の居酒屋にウグイを持ち込み料理してもらった結果を報告します。

行きつけの居酒屋「あじ平」さんへテレアポ

今回依頼したお店は、飛騨高山の大衆居酒屋「あじ平さん。
創業35年以上、飛騨の郷土料理や串焼き、日本海直送の魚料理が評判のお店です。

早速取材依頼の電話をかけてみる……。

お疲れ様です! ちょっとお願いがあって連絡しました!

お疲れ様! なになに? どうしたの?

ウグイって魚知ってますか? このウグイを美味しく調理してもらいたくて、その検証レポートを書きたいんです!

ウグイか〜。知ってるけど食べたことないな。でも面白そうだし是非やってみよう! 釣れたら持ってきてよ!

おお~! ありがとうございます! 近々釣って持っていきます!

その後詳しい日程調整を行い無事予定を取り付けることができました!
ノリノリで企画に乗ってもらえ幸先はバッチリ! オラわくわくしてきたぞ!

食材のウグイを調達し、お店へ

早朝AM6時に起き、ウグイ釣りへ。ものの数10分で6匹を釣り上げ食材ゲット! ホントに簡単に釣れますね(笑)。

ニゴイアブラハヤも釣れたので「これを機に」と持ち帰ってきました(笑)。
早速鮮度が落ちないうちに釣ったウグイを持ち込み居酒屋へ。

お疲れ様っす!例のブツを持ってきました!

おお~。たくさん釣ってきたね(笑)。早速捌いて調理してみよっか!

得体も知れない川魚にあじ平さんの営業スマイルも若干ひきつり気味……(笑)。

そして調理場で若女将さんと作戦会議。やはりぬめりが多い魚らしい。「どう泥臭さを消すか」「どう捌いていくか」……プロの意見がバチバチに飛び交う!

会議の結果、塩焼きフライじぶ煮にしてみることが決定!

(ニゴイは塩焼きとじぶ煮に、アブラハヤはフライにしていただくことに)
早速仕込み開始!

仕込み時のアクシデント!

さっきまで川で元気に泳いでいた魚たち。まな板の上に乗ると、もう食材に見えてきます。

ウロコとぬめりを丁寧に取っていき、内臓を取り出します。

すると数匹のウグイのお腹から卵が! 6月頃のウグイはまだ産卵期。釣った際にお腹の大きな個体は卵を持っている可能性があるためリリースするのですが、今回は目利きが甘かったようです。

この卵を使って何か料理できませんかね?

う〜ん、出来ないことはないと思うけど、美味いのかな?まあせっかくだしやってみよう!

急な無茶ぶりを快く引き受けてくださり大感激! 命を無駄にはできません。
こちらのウグイの卵は「煮付け」にしてもらうことに。
う〜ん、楽しみだ!

調理開始!

まずはウグイ2匹とアブラハヤ2匹をフライにしていきます。
下味を付けた身に、丁寧に衣を付けて油でカラッと揚げれば完成!

店内に香ばしい香りが漂う。これは期待値が高いぞ! アブラハヤに関してはサイズ感がまるでワカサギのフライのようだ! 生唾を飲みながら調理を見守ります。

そして次はウグイ2匹とニゴイの半身を塩焼きに。
串に刺すだけでアユさながらの風貌! 鮮やかな婚姻色が食欲をそそります。

しっかりと塩をまぶして下準備はOK! ニゴイも大きいだけあってすごい存在感……。

普段はアジやブリ、アユといった代表的な魚が調理されるコンロにウグイとニゴイが置かれている……。こんな風景を見るだけで胸が熱くなります。

焼き上がりを待ち、約15分。いい焼き色がついてきました! ここまでくるともう立派な料理としか言いようがありません! お腹から見える白身がめっちゃ美味しそう……。

ニゴイももはや鯛さながらの風貌! コース料理で出てきたらテンション上がるほど、食欲をそそる見た目になってきました!

続いては「じぶ煮」を作っていきます。
じぶ煮(治部煮)とは、鴨肉や麩、野菜などを煮て食べる、石川県の郷土料理です。
あじ平さんでは、鴨の代わりに魚を用いて料理されています。

まずはウグイに片栗粉をふんだんにつけて下準備。

衣をつけたウグイをカラッと揚げていきます。う〜ん、香ばしい匂いだ!

揚がったウグイを次は酢や醤油などを使った特製のだし汁で煮込んでいきます。酢の酸っぱ〜い香りが食用を誘います。

最後にウグイの卵を使って煮付けを作ります。
ウグイの卵、果たしてどんな味がするんだろう……?

できた料理は丁寧に皿に盛り付け、すべてのメニューが完成!
居酒屋にメニューとして存在しても不思議じゃないほどのフルコースメニューが目の前に!

いざ実食!

それではあじ平さん一同、ウグイ協会スタッフ一同で、仲良く「いただきます!」

まずは素材の味が一番わかるであろう塩焼きから味わいます。
見た目はアユやイワナの塩焼きと変わらないほどの風貌……期待してしまいます。

ではいただきます……モグモグ……
おお!これは美味しい! ニジマスの塩焼きに限りなく近い!

うん、臭みも全然気にならないし、普通に美味しい。
淡白でフワッとした、川魚らしい味わいだね!

若干の小骨がどうしても気になりましたが、本当に美味しかった! 居酒屋メニューであっったら普通に頼みたくなるレベルです。

ニゴイの塩焼きもすごく美味でした! ウグイ同様の白身で近い味ですが、ウグイと比べるとサイズも大きいため食べやすく、とても上品な味わいでした。若女将さんは「ウグイより美味しい」と評価していました(笑)。

続いてフライを味わいます。塩焼きが美味しかったんだからフライが不味いわけありません。案の定、淡白な白身はフライとの相性もバッチリ! アブラハヤのフライはウグイよりも骨が気にならず美味しくいただけました!「ワカサギのフライ」と言って出しても、ソースかけちゃえばわからないレベルです(笑)。

続いてじぶ煮を味わってみます。
口に入れた瞬間「お〜! これこれ!」といってしまうほど、ウグイのポテンシャルを最大限に活かせていると感じました。フワッとした衣と酸味の効いた出汁が臭みと小骨の存在をかき消し、ふわふわの白身との相性もバッチリ! 個人的には一番美味しく味わえた一品でした。

そして最後にウグイの卵の煮付けを食べます!
まったく味が想像できないこの一品……その味わいはいかに!?

パクっ……!

これは初めての食感! モキュモキュしますね。意外と固い。
普通に美味しい! 日本酒に合いそうですね!

なるほど〜! これはハタハタの卵の味に近いかも。
食感と見た目がすごく近い。ハタハタの卵を少しこぶりにした感じかな?

これですべてのメニューを完食! さすがプロの腕! あのウグイがこんなにも美味しく生まれ変わるなんて! 本当に感動です!

ぶっちゃけメニューとしての商品化はアリ?

ウグイは食ったことなかったから、どうなるか分からんかったけど、意外に美味しく食えたね〜!

ですね! 自分で料理しても美味しくできましたが、やっぱりプロの方が作るのは全然違いますね! 本当マジでありがとうございました!

ところでこのウグイですが、
ぶっちゃけメニューとして商品化、アリですか?
ウグイの流通先が確保してることを前提に、本音を聞かせてください!

う〜ん、残念ながら現状じゃナシかなぁ。
変わり種としては面白いかもしれないけど、ウグイの認知度は低いし、一般的に「美味しい」と言われていない魚だから、正直難しいと思う。

うちは焼き魚を日替わりで出してるんだけど、「本日の焼き魚はウグイです」って書いてあっても、注文する人はきっと少ないよね……。

う〜ん、やっぱりそうですよね……。ウグイのネームバリューと悪名、こいつらを改善しないことには商品化は厳しいかもしれませんね。

ただ、今回みたいに食べてみると意外とうまかったし、こういうイベント的な企画なら色んな人が興味持ってくれるんじゃないかな?

確かにそうですね〜! いや〜、本当に今回のロケは勉強になりました! ありがとうございました!

ウグイの新たな可能性を探して…

食器を片して、調理台に目を向けると、ウグイの調理方法を記したメモが置いてありました。プロの魂を感じると共に、「ウグイにこんな熱を注いでくたんだ……」と胸が熱くなりました。

まだまだウグイの可能性は見出しきれていませんが、こうやって行動に移すことで、少し晴れ間が見えた気がします!

ウグイの新たな可能性を探して、更なる一歩、突き進みます!