ウグイをはじめとする淡水魚は、寄生虫の懸念があるため、一般的には生食は推奨されていません。
しかし、ある工程を踏むことで寄生虫のリスクを下げ、ウグイもお刺身やお寿司などにして食べることができるのです!

今回の記事ではそんな「ウグイの生食」について。
プロの板前の方のご協力のもと、ウグイのお寿司を実食レポート!
生のウグイの味から食べる際の危険性・注意点などを解説していきます。

ブログを読む前の注意点
ウグイの生食は、寄生虫の懸念があるためとても危険です。
今回はプロの板前さんによる監修と、充実した設備環境の上で調理しております。
当会ではウグイの生食は推奨しておりませんのであらかじめご了承ください。

飛騨高山の寿司屋「梗絲(きょうし)さんへテレアポ

今回依頼したお店は、飛騨高山の寿司屋「梗絲(きょうし)さん。
富山湾で獲れた新鮮なブリを使ったお寿司や、伝統のます寿司、飛騨牛寿司が評判のお店です。

お疲れ様です! 前ちらっと相談した、ウグイを使った料理を作ってもらいたいロケの件、ぼちぼちやりたいなと思いご連絡いたしました!

お疲れ様! そうやね、ぼちぼちやりましょう! じゃあ〇〇月××日に、ウグイを店に持ってきてよ!

ありがとうございます! 承知しました! 頑張って釣ってきます!

以前の居酒屋でのロケといい、ノリノリで企画に乗ってくださることが本当にありがたい……。
お寿司屋さんではウグイをどう調理してくれるのか……!? オラわくわくしてきたぞ!

食材のウグイを調達し、お店へ

ロケ予定日、早朝ウグイ釣りへ。午前中は釣果が伸び悩んだものの、結果として6匹のウグイをゲット!
30cm近い大きな個体も獲れ、食材の調達は完了!
おまけにニゴイや小さなニジマスも釣れました。

おまたせしました! 材料を調達してきました!

お疲れ様〜! ほ〜、どれどれ… … ?

臭ぇ〜っ!!!(笑)
やっぱウグイは独特な匂いがするな(笑)。とりあえず洗って捌いていくわ!

ですよね(笑)。なんとか美味しく料理してやってください〜!

どう料理するかを話し合い、今回は酢締め昆布締めにしてお寿司を作ることに。
どんなものが出来上がるのか想像が全くつきません! とても楽しみ!

魚の下処理を開始!

まずは魚の体をきれいに洗った後に、塩で滑りを取りウロコを取り除き頭を切り落とします。

お腹を切り、内臓と血合いをきれいに取り除きます。

捌いた魚は水分を拭き取っていきます。

続いて、刺身にするため三枚おろしに。ウグイは小骨が多い魚のため、丁寧に腹骨も取り除きます。
また臭みの原因となる皮も剥いでいきます。

とても綺麗なピンク色の身! ここまできたらもう立派な食材です。
ですが匂いを嗅いでみると、まだほんのりと川魚特有の臭みを感じます。

熟成させるための下処理

今回は酢締めと昆布締めを作るため、2種類の熟成のための工程を行います。

昆布締めは、大きな昆布に針生姜を乗せ、そこにウグイの切り身を乗せて挟みます。

酢締めは、切り身に塩を振った後に酢に漬け込みます。

よし、ここまできたらひと段落やな。
これから熟成と寄生虫の予防をするために、一週間ほど-40度以下の冷凍庫で寝かせるわ。それができたら寿司を作っていくから、また一週間後に店に来てくれるかな?

すごい長丁場でご厄介おかけします……。ありがとうございます!承知しました!

ウグイは横川吸虫をはじめさまざまな寄生虫の宿主になっている可能性が高く、生のままウグイを食べると感染をしてしまう恐れがあります。ですが一度冷凍の処理をすることにより感染のリスクをグッと下げることができます。(一般家庭の冷凍庫では温度を下げられず寄生虫が死滅しない場合があります)

ということで時間をかけてじっくりと身を熟成させることに。実食がとても楽しみだ!

そして一週間後、ウグイの切り身の様子はいかに!?

お疲れ様です! ウグイの熟成はどんなあんばいですか?

お、お疲れ様! いい感じだよ〜! じゃあ早速やっていこっか!

左から昆布締め、酢締め

おお〜! めっちゃ綺麗! 臭みも全く無くなりましたね!
それでは引き続きよろしくお願いします!

酢締めは「小袖寿司」に

酢締めにしたウグイは「小袖寿司(こそでずし)」にしていくことに。
小袖寿司とは、小袖型にまとめた細めの棒寿司のことです。

まずは小骨対策として、身に切れ込みを入れ、骨切りを行います。

「巻きす」にラップをかけ、ウグイの切り身を乗せ、その上にすし巻昆布を乗せます。

シャリを均等になるよう丁寧に盛ります。

「巻きす」を棒寿司の形状が四角柱になるように巻いていきます。

おお〜! もう寿司屋のショーケースに入っていても違和感ない形状!
完全に食品ですね!

とりあえず形を馴染ませるためにちょっと置いといて、その間に押し寿司を作っていくさな。

昆布締めは「押し寿司」に

昆布締めにしたウグイは「押し寿司」にすることに。

押し寿司に使用するシャリには薬味として大葉、ごま、ラディッシュの葉を混ぜ合わせます。

押し寿司の型にラップをしき、その上にウグイの切り身、針生姜、大葉を敷き詰めます。

その上に先程薬味を混ぜ合わせたシャリを詰めてグッと押し、形を作ります。

おお〜! 見事な押し寿司になりましたね!

うん、昆布締めの押し寿司は味もマジで美味いと思うよ!

味に全く想像がつかない分とっても楽しみです!

それぞれのお寿司をカットして完成!

酢締めウグイの小袖寿司

小袖寿司は、一口サイズに切り分けて完成!

昆布締めウグイの押し寿司

押し寿司は長方形に切り分け、上に針生姜を乗せて完成!

うおお〜! めちゃくちゃ美味しそう! プロのお仕事に脱帽です……!

あとは味だけやな……。じゃあ食べてみようか!

ウグイ寿司、いざ実食!

熟成期間1週間! ウグイ寿司の味やいかに!? 実食をしていきます!

酢締めウグイの小袖寿司

まずは酢締めウグイの小袖寿司から。わさびを乗せて醤油をつけていただきます。

おお〜! これは美味い!
臭みは全くありませんし、酢との相性もバッチリ!
淡白な魚だからクセもありませんね。

うん、美味いね!
ダメ押しで結構薬味を使ったから臭みは無いね(笑)。
味で言うと昔店で出していたイワナの寿司に近いかも。

昆布締めウグイの押し寿司

続いて昆布締めウグイの押し寿司を実食! こちらはシンプルにお醤油のみでいただきます。

おお〜! これも美味い〜!
鯖の押し寿司と比べると、さっぱりした味が食べやすい!
食感もしっかりとしてるから、個人的にはこっちの方が好きかも。

だね!
昆布で熟成した分旨味がグッと上がっとるな。
店で出してもこれがウグイだとわかる人はおらんやろな〜(笑)。

スタッフの方にもご試食いただき、「さっぱりしていて美味しい!」との好評のお声をいただきました!
これは更なるウグイの可能性が見えてきた気がするぞ!

ウグイ寿司、ズバリ商品化はアリ?ナシ?

今回、ウグイを使ってお寿司を作って実食いただきましたが、
このウグイ寿司の商品化、ぶっちゃけアリですか? ナシですか?

う〜ん、ナシでは無いかな〜。でもアリとも言えない。
調理の手間はマス寿司とかとさほど変わらないし、味はさっぱりしてて美味いけど、世間のウグイの印象がやっぱりあまり良く無いからな〜……。

なるほど……。となると我々ウグイ教会の活動が商品化のカギを握ると言うことですね。

そうやな(笑)。 あとはウグイの仕入れ先さえできれば商品化はアリかもね。

ありがたいことに好感触の回答をいただきました! あとはウグイのイメージアップを図るため当協会の努力あるのみといったところですね。

最後に

梗絲(きょうし)さんの看板商品である「ます寿司」。
奥飛騨サーモン」と呼ばれる地元のブランドサーモンを使用しており、肉厚でとても美味しいのですが、2022年現在ロシアとウクライナの戦争の影響で、他業者が海外のサーモンを仕入れることができず、奥飛騨サーモンの注文が殺到し、品薄の状況が続いているとのことです。

地元のグルメが無くなってしまうことはとても残念なことです。
早く戦争が収束することを願い、安心して美味しいグルメが食べられる時を願うばかりです。

また、飛騨高山を訪れた際はぜひ梗絲(きょうし)さんの美味しいお寿司に舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。